平戸つつじは、大阪の医師、寺島良安が刊行した「倭漢三才図会(1712年)」に初めて紹介されています。原種は、ケラマツツジ、タイワンヤマツツジ、キシツツジ、リュウキュウツツジ、モチツツジ等が、長い歴史の中で自然種間交雑を繰り返し、現在の平戸つつじが生まれました。
この原種は、主に平戸市の武家屋敷に多く自生していたものを昭和27年に7品種を命名し、次いで翌28年に201品種、29年に75品種を命名し、合計283品種になりました。
その後大村市、長崎市古賀にも自生していることが判り、大村市で65品種、古賀で4品種が命名され、合計352品種になっています。
各品種とも花の色、形、花の大小、開花の早晩等の特徴を備えており、公園、庭園、あるいは鉢物仕立てとして利用することが出来、開花した時の豪華さは、目を見張るものがあります。
平戸つつじは、大株となり、大輪の花を樹冠一杯に咲かせる非常に強健なつつじです。公園や街路および庭園、更に鉢植まで幅広く利用されています。花の色は、朱色、鴇色、煤赤色、紫色、藤色、白色、桃色、紅色に大別されますが、品種毎に個性ある鮮麗な色彩を持っています。
工事公園用苗木は、樹高、枝張りともに40〜50cm程度で3〜4年生の苗を利用しています。植栽の場所によって1株植え、あるいは円形や雲形に寄せ植えする等の手法がとられていますが、地形と花色(品種)の配置を考慮する必要があります。
つつじ類は、いずれも細根性で根が浅く張るので、極端に乾燥する所での植栽は避けることが大切です。また、アルカリ性土壌を嫌うので石灰類や木灰は施さないようにします。植え付けに関しては、植え穴に良く腐熟した有機物を施し、苗木に付いている根土を振るい落として植え込み、充分潅水します。
平戸つつじは常緑の大型、大輪性のつつじで樹勢は極めて旺盛です。 自然交雑を繰り返して成立したため、変異の幅が広く、多くの品種があります。 その中から特に優れた品種を紹介します。
純白色の長弁平咲の巨大輪、雌芯雄芯とも特に長く黄緑の彩があり、枝は上伸性で生育は良いが、やや枝数が少ない。樹勢は旺盛。
やや淡い洋紅色の平咲、花径15cmにもおよぶ巨大輪彩は濃紅色で開花期が長く、多花性、枝の伸長もよく大株となり、庭園、公園、鉢物兼用種として最適。
濃朱色で波打ち広弁の巨大輪。僅かに波打ちがあり、彩は濃赤色。葉は濃緑で樹勢も強い。
濃朱赤色で丸弁、やや閉じ咲きの中輪、端麗な花容で雄芯の弁花もみられる。極多花性。
明るく淡い鴇色で平咲、大輪、花弁は僅かに波打つ広弁、彩は鮮赤色で淡い紫色のボカシがある。植栽は強い日光の当たる場所を避け、薄日の当たる所が良い。
純白色丸長弁で切込みが深い、白としては巨大輪彩はない。
桃色を帯びた濃紫色の花で、雄芯が長く、雌芯は赤色をしている。
桃色でやや長弁の巨大輪、平咲き、彩は濃赤色。
鮮やかな朱色。細弁でやや閉じ咲の中大輪、彩は濃赤色で少し紫のボカシがある。
早咲きの鮮明な桃色、大輪、花弁が厚く、整った花型で多花性、公園や街路の植込みに最適で、庭園、鉢植にも適する。
紫色で花弁はやや細長、中輪、少し閉じ咲き、彩は濃赤色。
鮮洋紅色、長細弁で切込みが深い巨大輪、花つきよく枝は上伸性。
朱紅色で広丸弁の大輪、平咲、樹はやや広がる。
晩咲きの白色、やや波打ちの大輪、やや開咲、彩は無く、極めて淡い緑のボカシがある。
濃い洋紅色、丸弁の中小輪、彩は濃紅色で少ない。
濃い洋紅色、やや波弁の大輪、芯は濃赤色、樹勢は強い。
丹赤色で平咲きの大輪、彩は濃赤色。
淡い洋紅で桃色、やや丸弁、平咲の巨大輪。樹勢が強く葉色も良いことから公園、街路等の植栽に最適。
光沢ある純白色の大輪、やや閉じ咲き、弁は厚く花持ちよい。樹の生育は非常に旺盛。
桃色を帯びる鮮麗な藤紫色、波打弁の巨大輪、上弁に濃赤色の鮮明な彩がある。樹勢が強く枝は上伸し大株となる。公園、道路、庭園等いずれの植栽にも適する。
鮭肉色の早咲き、足りんで彩は濃紫桃色、明瞭にして弁先に向かい淡い紫のボカシがある。
やや淡い洋紅色の超巨大輪、花弁はやや細弁。
淡い朱色、中輪、長弁で彩は濃赤色。
濃桃紅色で盃咲き。中輪、早咲きで多花性。
晩咲きで濃紫色大輪、やや広弁で縮緬がある。彩は濃赤紫色。
帯紫煤竹赤色、やや細弁の大輪、彩は濃赤紫色。
鮮洋桃色、平咲きの大輪、彩は洋紅桃色。
鴇色で波打った広丸弁の巨大輪、彩は明るい濃紫色で紫のボカシがある。
藤紫色で平咲、やや大輪、彩は濃赤色で光沢がある。
花は洋紅桃色、平弁の巨大輪。葉は濃緑色で樹勢は強い。
鮮明な朱色で花弁厚く花形の整った大輪、多花性。葉は濃緑色で照葉、樹勢強く造園用に最適。
晩咲き、淡い鴇色、広弁でやや波打ちあり、大輪。彩は濃赤色、紫のボカシがある。
紫色の巨大輪、花弁は広く厚い。樹勢が強く枝が横張りとなるので広い場所の寄植に適する。初冬に春葉が紅葉する。